低出生体重児用ベビー服の開発/佐藤里麻さん自身の体験をバネに

佐藤里麻さん

日本人の10人に1人は、体重2500グラム以下の低出生体重児で産まれる。出生体重が低ければ低いほど、高度な医療ケアが必要となる。肌もそれだけデリケートであり、何とかこうした赤ちゃんを守りたいという思いから、低出生体重児専門のベビー肌着とベビードレスの販売に乗り出そうとしている女性が仙台市にいる。

それが、一般社団法人くるむの佐藤里麻代表理事だ。10年前に自身も低出生体重児を出産した経験を持つ。妊娠5カ月の時に、医師からは重度障害児であることを告げられ、さらに7カ月の時には胎児の成長がみられず、このままでは生存が危ういことを告げられた。産むか産まないかの決断を迫られたが、佐藤さんは夫とも相談の上で産む決心をした。産まれた子供は障害を抱えた上に低出生体重児で、当初は隔離され抱いてやることもままならなかった。着ていた肌着を自宅で洗濯して、それを着させるのが母と子をつなぐ唯一の方法だった。

ベビー服は、佐藤さんの妹が作ってくれたことが頭の中に残り、そこから「不安で苦しむ家族に子育てを楽しむきっかけをつくり、笑顔になってもらう」ために始めることにした。大阪のベビー服メーカーに開発を依頼し、現在サンプルづくりを行っている。肌着は低出生体重児のデリケートな肌を傷つけない素材(生地)や縫製仕様。それに、タグも肌に直接触れない位置につけるなど、きめ細かい製品化が要求される。医療行為の妨げにならないようなデザインや色も必要だ。それでいて、考えている価格は1000~1500円と格安だ。
肌着のほかに計画中のベビードレスも、肌に優しい素材、デザイン(袖や首回りを大きく)や縫製で開発中だ。だが、ドレスにはもうひとつ重要な役割がある。現状では死産時に着せる服がなく、せめて着飾らせて旅立たせたい、という家族の願いに応えることだ。

佐藤さんによると、低出生体重児の市場規模は年間約10万人から弾き出して8~12億円、ベビードレスなどのギフトカタログは3億円と見込んでいる。販売ルートはこども病院などでの委託販売とインターネット販売などで行う方針で、今年10月から本格的に稼働予定だ。すでに病院ルートでは宮城県立こども病院で取り扱うことが決まっているが、2年目以降は経済産業省の支援を得て、全国の病院にも働きかけを行っていくことにしている。衣料品は全くの門外漢であったという佐藤さんの挑戦が始まろうとしている。

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