インタビュー・オカダヤ蛭川勝五社長・ショッピングの楽しみは残る

昨年は創業90周年(昭和2年創業)を迎えたが業績は手芸材料、ランジェリーの両方で10月末現在まで予算をクリアーし前年比も越えた。これまで積み上げてきた店の付加価値化、ネット販売の拡大が成果を出している。手芸もランジェリーも同じだが、ただ物を売るだけの旧態依然たる店舗は否応なく淘汰されていく。マーケットは成熟し変化しているので、その流れに沿った店舗環境を作り上げないと店は衰退していく。
現在、手芸の市場ではミンネというスマホアプリを使い、個人が作った手作り作品をすぐにアップし販売する市場が急速に拡大している。すでに、一人で1ヶ月100万円単位で稼ぐ人が数千人いるとされている。過去、ヤフーオークションなどで売買されていたものが、ミンネになると手続きが簡単で、すぐにアップでき決済までスムーズにできる。あのネットオークションも手芸品の分野では過去の市場になった。その主力製品はアクセサリー類が中心だが毛糸や生地も売れている。毛糸などは百均ショップもあるが、うちでは最低一玉500円から高い輸入毛糸は3000円以上するするものまで品揃えしているが高いものが売れている。そう考えると価格競争にさらされるNB製品を除くと、店にあるたくさんの品物を新たな視点で編集し品揃えすると、まだまだ掘り起こしができると考えている。ただし、それに必要なのは圧倒的な質の高いコンサルティング販売だ。これは、手芸だけでなくランジェリーも同じ。ただ、物を売ることだけを目的にする商行為ではなく、そこにどこまで商品知識や商品の使い方を楽しく伝えることができるかの販売技術が大事になるし、そこにこそ、次の時代に生き残れるリアル店舗の付加価値がある。
アンテシュクレ(下着店)では、ワコールのサルートが伸びている。だが、目をスマホにやれば、そこには同じサルートが20%オフ、25%オフで販売する店がたくさんある。だが、それでもうちに来るお客様は店の正価で買っていく。これこそ、うちが目指してきたコンサル販売の結果だと考えている。店でお客様が書いてくるハガキを見ると「楽しかった」、「心地良かった」という声がほとんど。ただ、物を売るだけの店ではないことが店の価値を作り上げている。だが、課題もある。うちでもネット販売は手芸部門で昨対比20%以上、ランジェリーでも10%以上は毎月伸びている。ネット環境ができて、それにAI(人工知能)、物流、決算機能が整備されると、店で物を売るが商品は物流センターにあれば済むようになる。店で商品をもつ必要がなくなりサンプルと少しばかりの商品があれば事足りる店のショールーミング化が起こる。買ったものは翌日届ければ良く、お客様も手荷物を持ち歩く負担もなくなる。結果として在庫はセンターに集中すれば店舗在庫は現在の3分の1程度で済む。そうなるとリアル店舗は郊外ではなく人の多いターミナル型の商業施設に集中するようになる。
11月にはオカダヤ本店ランジェリー売場に3Dスキャナー機器を初めて導入した。これはAI技術を活用した人体計測機器で、人間が行うコンサル販売と人体を正確に計ることによるデータを駆使した的確なアドバイスができるようになる。当面は1店舗、1台のみで実験し基礎データを集め検証していく。11月2日には川崎アトレに下着の店「アンテバイアンテシュクレ」を新規出店した。売場面積は約20坪で、接客販売を重視することでフィッティングルームのスペースは十分に確保した。品揃えは他の店と大きく変わりない。前期2017年2月期売上は86億5000万円、今期は3月~10月末までの累計売上が予算比102・7%で推移している。来期は創業から91年目を迎えるが、とくに新しい事をやる予定はない。
いまの時代は毎日のようにコンビニで買い物することが日常になっている。だが、そのコンビニで買い物して楽しいと感じている人はいない。どんな時代になっても、ショッピングの楽しみは残る。これまで進めてきたリアル店舗の付加価値化は成果が出ているので、それをさらに深掘りしていきたい。

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