インポートランジェリー

3月から4月にかけて高級なインポートランジェリーブランドの秋冬展が相次いで開催された。各ブランドとも、日本メーカーにはないデザイン、レース、着用感で独自性を出しブランドの世界観を演出する展示が見受けられた。
一方では、下着国内市場の消費低迷を受けて、高級なインポートブランドも迷走を続けている。最大の問題は販路。かねてから輸入下着専門店の全国的減少傾向は続いていたが、それが、5年前の東日本大震災後の倹約型消費の流れが定着し、一部外国人の爆買対象商品を除き、その傾向が一段と鮮明になっている。
また、3年前に始まった円安で海外からの日本旅行者が急増し、その買い物消費効果は日用品から高額品まで広範囲に及んでいる。しかし、その範囲が下着、とくに高級な欧米ブランドのランジェリーには及んでいない。日本を訪れる外国人の中で多いのが中国、香港、台湾、韓国で70%以上だが、これらの観光客の購入対象商品は「メイド・イン・ジャパン」で、日本にきて、わざわざ欧米ブランドのアパレル製品を買う動きは少ない。一部高級腕時計などの海外ブランド品が売れているがアイテムやブランドは限られている。
今年2月の旧正月連休を利用した中国、香港、台湾の旅行者数は増えたが、銀座で爆買いする百貨店の売上げは伸び悩んでおり、中でもランジェリーやストッキング売場は前年実績を割り込んでいる。
そんな中で、この春に飛び込んできたのが、日本国内でアパレルや雑貨の大型高級専門店の下着売場撤退や大手アパレルチエーンのリストラに伴う高級ランジェリー売場の削減だ。
問題は、こういった売場撤退や縮小の中で、それをカバーする受け皿がないこと。既存の百貨店や専門店は下着で新しく高級ブランド売場を広げようとするところが少ない。
シャンタルトーマス

百貨店ではワコール、トリンプに場所貸し的売場で展開する以外に、自主売場を運営し育てる人材もいない。また、インポート専門店は、一部でネット販売と併売して一定の業績を上げている店もあるが、全体の中では数少ない。大半の専門店はオーナーがきちんとした店舗運営をしているものの、その高齢化と後継者不足で事業の継続性が担保されていない。
ワコールの輸入品ブランドは自社の直営店や既存の百貨店や専門店卸先売場の中で販売し、ある程度の持続的な販売スタイルを確立している。また、「オーバドウ」など高級ランジェリーブランドを展開する栄進物産は百貨店内ショップ13拠点と直営店2店舗で自社直営店「マリアネリ」15店舗を展開し、他に全国70~80店舗の専門店卸を展開する。昨年にはオーバドウの公式オンラインショップを立ち上げるなどネット販売への販売エリアも広げ、既存販売店舗の減少を食い止めている。
「メゾンクローズ」と「チェスニービューティ」を展開するアルテックスは既存専門店との取り組み以外に百貨店との期間限定のポップアップショップの展開に力を入れている。期間中の販売からリピーターにつながるケースも出てきており、そういった店舗販売の積み重ねを重視する。
イタリアのボローニャ産地を代表するランジェリーブランド「エクセリア」を展開するマリーでは新しいブランド(オランダのメンズインナーブランドのムチャチョマロ)の導入を機にセレクトショップとの売場展開に力を入れる。既存の店では販売スペースの問題でブランド価値観や世界観を表現するスペースができないが、一部のセレクトショップではそれを解決したコラボ型売場展開の動きもある。
インポートブランドは「売り先がなくなる」状態が続いている。だが、ネット販売や一部の専門店ではインポートランジェリーの若い顧客層が増えている店もある。そういったインポートのヘビーユーザーをどこで、どのように接点を作り、その関係性を持続的に構築していくか、卸先バイヤーだけでなく、そのバイヤーの先にいるエンドユーザーの顔をしっかりと見据えた対策が求められている。

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