インナー&ソックスの2017/SPA事業が頭打ちに/IOTで買い方が変わる

(2017年1月2日原宿駅前竹下通り入り口付近)

変化する世界経済

2018年(平成28年)が始まった。昨年はイギリスのEU離脱、アメリカ大統領選挙でトランプ氏の勝利、イタリア国民投票でレンツィ政権の退陣、韓国のパク大統領弾劾決議可決など世界の政治が大きく変動した1年だった。そんな中で下着靴下市場でも世界的変動が起こっている。生産面では世界の下着靴下の製造大国中国が人件費や諸物価の高騰で低価格品の大量生産拠点としての役割が小さくなり、その機能はアセアン諸国へ分散化している。また、北米に次ぐ世界最大規模の下着消費地EU市場も一段と厳しくなる。ギリシャ危機に端を発した経済の低迷が続き、それがフランス、イタリア、スペインなどユーロ経済圏全体に及んでいる。シリア難民問題も絡んでイギリスがEU離脱まで追い込まれるなど、EU圏内の経済が低迷し、パリの繊維製品見本市の集客は大幅に落ちている。


トリンプ、ファンデーション事業規模世界NO1から2位に転落

一時期、経済成長を遂げたロシアではサンクトペテルブルクやモスクワに世界の高級ランジェリーブランドが進出し脚光を浴びたが、ウクライナ政変で、西側から経済制裁を受けてロシアバブルも崩壊した。また、フランスの百貨店売場で最大で最高の顧客だった中近東の石油富豪たちは原油価格の低迷で、その消費購買力も落ちている。日本では中国人富裕層の爆買い観光中国当局の輸入税の改正や越境ECの拡大で、それも鳴りを潜めた。
こういった世界的生産、消費変動の中で、かつて世界最大のファンデーションメーカーだったトリンプはその製品供給先EU市場の経済低迷で販売が低迷し、さらに、中国などのファンデーションメーカーとの市場競争にさらされ企業経営が悪化している。トリンプはかつてファンデーションの世界最大の市場占有率と販売高を維持していたが陥落した。本紙の推定だと、世界のファンデーションメーカーランキングでは連結売上高2000億円を超えるワコールがナンバー1でトリンプはナンバー2となった。これは、戦後70年過ぎてファンデーションの世界経済秩序が塗り替えられたことになる。
SPAも過去のものに 
SPA(製造小売業)が日本で登場して30年近くなり、一時はアパレルビジネスの新しい成長モデルとして脚光を浴びたが、最近ではその成長に陰りが出ている。下着よりも早く登場した靴下のSPA事業は1980年代に誕生した。当時は、一谷商事(ベルウインクス)、サンエオリジン(サン・エ・オリジン)、タニメイサービス(ボウスール、ねねショップ)、ダン(靴下屋)、ブロンベル(キャニーベル)、モンド(モンドショップ)、上堀靴下(ヘッドホーン)、シャレックス(しゃれっぺ)などの靴下メーカー、問屋が相次いで直営店事業に参入していった。だが、現在SPA事業を成功させ残っているのは大阪本社のダンのみ。その後1990年代後半にスタートし成長してきたチュチュアンナの直営店事業も前期靴下売上額は初めてマイナスとなった。
下着も同じだ。1990年代にトリンプのアモスタイル、ピーチジョン、ソックコウベに続いてワコールも直営店事業を開始した。だが、最盛期300店舗を越えたトリンプの直営店は店舗数を大きく減らしている。ピーチジョンは経営不振をワコール傘下になることで延命した。ソッコウコウベは国内店舗売上は横ばいだが、ネット通販と海外事業が成功したことで成長を維持している。ワコールの直営店事業「アンフィ」や「ウンナナクール」は売上高こそ新規出店で増加しているが、既存店売上は停滞している。
こういったアパレル事業の成長モデルだったSPAが停滞しているのは「ヒット商品やトレンドがない」、「景気が悪い」などではない。答えは消費者が下着や靴下を買う買い場がSPA店舗だけでなくユニクロ、GU、H&M、しまむら、ウイゴー、無印、ドラッグストアー、ネット通販に分散化したことだ。
リアル店頭は販売格差が益々広がる。ネット通販もIOT(インターネットオブシンク)化が進みネット単独の販売手法から様々な業態とのつながりが求められる。これからは、強い小売業ほど単体で生き残る道を避け既存流通や全国にたくさん店舗を持つコンビニや郵便局などと互いに資本・業務提携しネットワーク化することで物販やサービスを提供するようになる。SPA事業も次への変身が求められている。

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