インタビュー/矛盾に満ちたノンワイヤーブラサイズ「M、L」・・・L.C.L.ホールディングス 石井和人社長 NO1

石井和人氏はファンデーションデザイナーとして補整下着の企画、製造に長く関わってきた。とくに、ブランドコンセプトからデザインを描き、それを自らパターンに手書きの線で表現することのできる日本で数少ないファンデーションデザイナーとして実績を残してきた。師と仰ぐのは、グンゼ時代にデザイナーの上司として学んだ堀江昭二氏。そこで、学んだファンデーションパターン技術はいまでも仕事に活かしている。最近では、下着研究会を開き、自ら得たファンデーション技術を後輩たちに伝えている。その石井和人氏、最近のファンデーション市場の課題について伺った。


矛盾に満ちたノンワイヤーブラサイズ「M、L」

ブラジャーで仮に私がM、L表示のパターンを依頼されてもブラジャーのパターンを引くことは出来ません。トップバストだけの寸法を聞いてどうやってブラ設計の基本となるアンダーバスト寸法を類推しろと言うのでしょうか。本当に真摯なブラジャーパタンナーであったら悩んだあげく、死を選ぶかもしれません。それほど矛盾に満ちた表示法です。

バストの形状、容積(体積)を推定するには、トップバストとアンダーバストが不可欠と言うことです。現在では、ベストとは言えないかもしれませんがベターな方法だと思います。設計の立場から言えばカップ部については「バストの容量を正確に把握したい」というのがブラパターンナーの願いだと思いますが、現実的にはなかなか難しいのでトップバストとアンダーバストの組み合わせで類推するという方法が現状では最良ではないかと思います。

また、消費者の立場からしても、仮にバスト容量を正確に測る方法があって、消費者個々の容量を測るにしても、それは余りにも専門的過ぎて、面倒で恥ずかしいなどの問題があります。ですから、トップとアンダーで類推する方法は消費者側に立っても、負担にならず良い方法だと思います。現在のブラJISサイズ規定も過去から歴史ある欧米の表示法も頭に入れつつ制定されたことと思いますが、JIS規定自体には問題があるとは考えておりません。

具体的に言えば一番の問題点は先ほど書きましたアンダーバスト寸法をどう設定してよいか分からないと言う点です。仮に「Mサイズの人用のブラを作って」と言われて、トップバストが仮に83cmだと言われても、消費者のアンダーサイズは70cm(B70)かもしれないし、65cm(D65)かもしれないし、80cmの男性かもしれません。JIS(日本工業規格)のM、L表記は下着用(ブラ等は除く)と明記しています。三角ブラのようにインナーウエアの延長上にある商品ならば余り目くじらを立てる事は無いと思いますが、ブラジャーと謳う以上には問題があります。デザイナーズブランドのような小規模展開商品ならまだしも、大手サプライヤーが作りセルフで売る商品表示では、それで通るのか心配になります。

 

測定方法にも限界がある

細かく言えば「トップバスト」寸法自体も、はっきりしたもの、正確なものとは言えません。この部位の測定時は「ブラジャーを着用して測る」や「手で適正な位置に持ち上げて測る」などの注意書きがついています。そもそも脂肪の塊で形状が一定しない箇所を測るのは無理があります。多くの人体測定部位は骨の頂点など分かりやすい測定点があります。しかし、トップバストは当然のことながら骨が無いので測る時や人によって同じ人の寸法を測っても違うことが多いと言えます。

さらに、サイズ内の範囲が広いのが特徴です。Mでしたら79cmから87cmまで8cmも幅があります。たとえアンダーバスト寸法が70cmで良いと決めても8cmの範囲をカバーするカップなんて出来るのか疑問です。

 

カップサイズは測定が難しい

通常のブラジャーカップサイズは、トップとアンダーの差が2.5cmあります。これは、高さだけではなく底面積の差も加わると思いますので、これは各社のパターンナーがBカップの元型パターンとCカップの元型パターンの使い分けで調整していると思います。

アンダーバストについてはカップ部とは設計の考え方がまったく異なります。カップ部は立体状態のため容積や形状、肉質などの3D、性格把握は通常難しいのに比べ、アンダーバストは肋骨で構成された平面であり、長さだけで対応することが可能な箇所だからです。この長さへの対応に効いているのは背フックとパワーネットなどバック布部に使われるストレッチ素材が主役です。背フックの調整量(現在は3段に調整できるフックが主流)は、最大3cmの調整が可能ですし、現在のポリウレタンなどのストレッチ糸は性能が向上されているので締め付け度の変化はあるもののこちらでも5、6cm程度の対応力はあると思います。トータルして5cm程度の対応力は締め付け力の変化はありますが問題ないと判断しております。ノンワイヤーブラの長所といえば、唯一「管理が楽」で効率的と言うことにつきます(続)。

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